毎日がプロローグ

✳︎はみだした日常✳︎ 日常と非日常の狭間で、感性が研ぎ澄まされてゆく物語。

【なりすまし詐欺、してる?】

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先日、両親の銀婚式でした。25周年のお祝いで連絡したら、「せっかくだから家族で過ごそう!」という流れになり、後日福岡からわざわざ愛媛まで来てくれることに。


精一杯おもてなししたかったのですが、僕は普段家族といるときは7割型上の空状態でして(笑)、いつも会話を話半分に聞いてしまうんです。

両親にはお世話になりっぱなしなので、恩返しがしたくてプレゼントを渡したり、精一杯感謝の意を伝えたりしましたが、案の定会話は上の空。ぼーっとしながら両親の話を聞いていました...。

 

ところが、その会話の中で急に現実に引き戻されました。母がテポドン並みの衝撃的な一言をボソッと呟いたからです。

 


『 えっ、いい子って何? 』

 

この一言の威力で、僕は夢の中から目覚め、現実世界に帰ってきました。

 

いい子って何...?

 


え、

 


【僕って今まで〝いい子〟じゃなかったの...?】

 

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僕は小中高ととても〝いい子〟でした。
親からも友達からも先生からも、12年間ずっと「たっくんはいい子だね」と言われて育ってきました。

 

しかし、これはただの勘違いでした。

 

 

僕はいい子を〝演じていた〟だけなんです。もっと言うと、演じていた〝つもり〟だったんです。


みんなが僕に〝いい子〟を求めていたと思っていたから。

 

だから僕は「自分はいい子だ」と思い込み、演じ、なりすましていました。

 


そう、僕は小学生の時から母がテポドンを落とすまでの16年間【なりすまし詐欺】をしていたのです。

 

ただ、今考えてみれば見るほど、僕の中身は〝いい子〟ではありませんでした。
友達の自転車をわざと壊し、ウソをついてトラブルを起こし、親の言う事を聞かないことなんて日常茶飯事。

 

不思議な感覚でした。
僕は「いい子になりたい」と思ったことはありません。しかし、僕はずっと「自分はいい子だ」と思っていたんです。

本心で思っていない事を、ずっと演じていたんです。


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いきなりですが、僕には2つの顔があります。
それは、《北島拓磨》と《たっくん》です。


北島拓磨の時、僕は余り目立たず迷惑をかけすぎず、ただ行事の役職などを引き受ける、《 バランスの良い人 》ですが、

たっくんの時は、少し破天荒で好奇心旺盛で、周りの目を気にせずポッキーを道行く人に配っちゃうような《 元気の良い人 》です。

 

僕は旅中はたっくんだったり、同窓会では北島拓磨だったりと、状況に応じてこの2人を無意識的に使い分けています。

その方がムリに意識もせずストレスもなく人と接する事が出来るからです。


そして、先ほど1つ気付いた事があります。

 


なりすましには【良いなりすまし】と【悪いなりすまし】があるんだ、と。

 


僕のように状況に応じて無意識に使い分けているということは、ストレスを余り感じていません。しかもその場にあった自分になりすましています。
これはおそらく【良いなりすまし】です。


では【悪いなりすまし】とは何かと言うと、『 意識してなりすましている、またなりすまし中にストレスを感じている 』時のことではないのかなと。

 

意識しなければなりすませないと言う事は、本来の自分ではありません。そしてなりすましてストレスが溜まるというのも、本来の自分ではありません。

 

人は状況に応じて対応を変えたりしますし、それ自体にはなんら問題はありません。しかし、そのなりすまし自体が【良い】か【悪い】かが大事なんです。

 

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以前、「色んな場面で自分を使い分けていて、どれが本当の自分か分からなくなるんです。」という相談を受けました。


その時はしっかりとした返事を出来なかったのですが、今では答えられるような気がします。

 

「そのときそのときで意識して変えたり、途中からストレスを抱えたりするのならば、それは本来の自分ではない。
だけど、自分を無意識に使い分けていたりストレスを抱えなかったのならば、それはどんな自分であれ、本当の自分だよ。」

 

僕は意識して〝いい子〟を演じていました。つまり【悪いなりすまし】をしていたんです。しかし親は全部見ていてくれました。

 

『えっ、いい子って何?』

 

この一言が、僕を救ってくれたんです。
当時の僕が【悪いなりすまし】だったと気付かせてくれたんです。


このことで、今自分が『 本当の自分 』で過ごせていることを、結婚25周年の両親に教えてもらいました。


過去を振り返り、今に繋げる。


親への恩返しの気持ちが、また強くなった一件でした。